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LOT 28
加山 又造〈1927-2004〉
月と馬
50.0×73.5cm
紙本彩色・額装
左下に落款
1953年頃
加山哲也鑑定書付
[literature]
『加山又造全集 第一巻 動物たち/風景』No.16 掲載(学習研究社:1990年)
解説を読む
¥
5000000
-
10000000
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LOT 28
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加山 又造〈1927-2004〉
月と馬
50.0×73.5cm
紙本彩色・額装
左下に落款
1953年頃
加山哲也鑑定書付
[literature]
『加山又造全集 第一巻 動物たち/風景』No.16 掲載(学習研究社:1990年)
¥
5000000
-
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日本画家・加山又造がその画業の初期に手がけたのが、動物を主題とした作品であった。西洋絵画の表現も取り入れながら、新しい日本画の表現を試みた独自の作風は、戦後の画壇に清新な空気を吹きこみ、日本画の若き旗手として大きな注目を浴びる。一連の動物画は画家にとってのスタート地点であるだけでなく、日本画にとっても戦後の出発を告げる存在であったといえよう。
京都で西陣織図案家の子として生まれた加山は、伝統絵画に囲まれていた幼い頃から画家を目指し、1944年に東京美術学校に入学する。しかし、戦中戦後の混乱や父の病逝によってアルバイトに奔走しなければならなくなり、その折に横浜の米軍赤十字クラブでたまたまライフ誌を手にし、掲載されていたラスコー洞窟壁画の写真に感銘を受けた。
そして卒業後、作家として活動をはじめた加山が意識したのは、前近代的という批判を世間から向けられていた、戦後の日本画の変革であった。そこで、ラスコーのような旧石器時代の動物画の生命感と造形を原点とし、北方ルネサンス絵画やキュビズム、フォーヴィスム、シュルレアリスムなど、古今の西洋絵画の造形手法を貪欲に吸収する。一方で、日本画に伝統的にそなわっている、優れた象徴性やデザイン性にも着目し、それらを融合させることで新しい日本画を追求した。
まさしくその頃に描かれた今回出品される動物画には、日本画のさまざまな可能性をさぐる画家の姿勢が偲ばれる。
シャープな造形をもつ4頭の馬を描いた1作は、「馬が好きでよく絵にしてみた。日本画の絵具を幻想的に美しく生かしてみたかった。そして、馬はその幻想性を湧き立たせるのに最も適したモティーフに見えた」と語った画家が、日本画独自の強みを生かそうとする思いがこめられているだろう。「月の光の中では、すべてが、すべてが透明に見える」という月明かりによって、余計なものをそぎ落とした馬のフォルムが浮かび上がるさまは、個を超えた動物の生命そのものを象徴し、神秘的な気配を漂わせる。
また、駱駝も画家がくり返し描いた存在であった。「砂漠にはいつも蜃気楼があるような気がしてならない。広大な、広大な砂丘の重なる中に、駱駝達は眠る。月光の中の蜃気楼、いつも涙を流しているとぼけて、そして深く悲しい駱駝、彼等の仰ぎ見る月は、やはり駱駝に見えるだろう」
今回出品作の駱駝は、洋画の影響を受けた斬新なフォルムで表されながらも、空を見上げる姿には静謐な詩情を感じさせ、西洋画の造形と日本画の抒情性がまじりあう、独自の世界観が広がっている。
このような独創的な動物画を描いていた頃の加山は、1950年の創造美術春季展で研究会賞を受けたのを皮切りに、新制作協会で受賞を重ね、29歳の若さで新制作協会会員に推される。さらに1957年に東京国立近代美術館で開催された、当時もっとも充実した活動を行う作家を集めた「十七人の作家」展に最年少作家として加えられるなど、これからの日本画を担う期待を一身に背負う。
その後、加山は琳派や水墨画なども倣い、現代的な感覚をそなえた華麗な作風を展開させたが、そこには日本画に革新をもたらそうとする初期の動物画と変わらぬ思いがあったのであり、ぜひ今回出品作から画家の目指した理想を味わっていただきたい。