Catalog | iART auction
LOGIN
JP
EN
CN
LIVE BID
ABSENTEE BID
PADDLE No.
JP
EN
CN
CATALOGUE TOP
LOT 17
Paul Gauguin (ポール・ゴーギャン)
Manao Tupapau
(シートサイズ)35.7×43.5cm (イメージサイズ)18.0×27.1cm
版画 (リトグラフ)・額装
左上に版上モノグラムサイン「PGO」・右下余白にサイン「Paul Gauguin」「Ep.47.」
1894年
[reference]
『Paul Gauguin: Catalogue raisonne of his prints』P118-119, No.23 (Kornfeld:1988年), 『PAUL GAUGUIN THE PRINTS』P87, No.21 (Tobia:2013年)
[provenance]
Robert Darwin (カーメル・バレー/アメリカ), 個人蔵 (日本)
解説を読む
¥
1200000
-
2000000
ABSENTEE BID
LOT 17
解説を読む
Paul Gauguin (ポール・ゴーギャン)
Manao Tupapau
(シートサイズ)35.7×43.5cm (イメージサイズ)18.0×27.1cm
版画 (リトグラフ)・額装
左上に版上モノグラムサイン「PGO」・右下余白にサイン「Paul Gauguin」「Ep.47.」
1894年
[reference]
『Paul Gauguin: Catalogue raisonne of his prints』P118-119, No.23 (Kornfeld:1988年), 『PAUL GAUGUIN THE PRINTS』P87, No.21 (Tobia:2013年)
[provenance]
Robert Darwin (カーメル・バレー/アメリカ), 個人蔵 (日本)
¥
1200000
-
2000000
ABSENTEE BID
CATALOGUE TOP
×
1891年、近代西洋社会の文明的規範を離れ、原初的な精神の調和と生命の真実を求めて南太平洋のタヒチ島へと渡ったポール・ゴーギャン。1893年にパリへ帰国した画家が、現地で得た強烈な美的体験と南国の神話的想像力を西洋美術界へ提示すべく取り組んだ一連の版画制作のなかでも、本作「Manao Tupapau」は、1892年に制作された同名の油彩画と並び、ゴーギャンのタヒチ時代を象徴する造形思考が結実した極めて重要な作品として位置づけられるであろう。
タイトルの「Manao Tupapau」は、タヒチ語で「死霊(トゥパパウ)を想う」、あるいは「死霊が想う」という二重の解釈を含む言葉であり、ゴーギャン自身、その手記や妻に宛てた書簡の中で「彼女が死霊のことを考えているのか、それとも死霊が彼女のことを考えているのか」という問いを投げかけている。画面中央には、ベッドの上に俯せになり、不安と恐れに満ちた視線をこちらへと向けるゴーギャンの現地での伴侶であったテハアマナ(テフーラ)が描かれ、暗闇に対するポリネシアの人々の原初的な畏怖と神秘的な精神世界が見事に表現されている。
本作品を語るうえで、この横たわる裸婦というモチーフの成立における西洋美術史上の系譜は見逃せないであろう。ゴーギャンはエドゥアール・マネの「オランピア」を深く賞賛し、かつて同作の油彩模写を手掛けたのみならず、タヒチへも「オランピア」の写真絵はがきを携えていたほどであり、この近代的な裸婦像をポリネシアの伝統的な精霊観念や暗闇への恐怖と結びつけることで、ゴーギャンは西洋の古典的造形規範を原始的神話へと解体・再構築してみせたのである。
また、本作品における造形上の特徴は、画面右上の人物配置にあるといえよう。原点となる油彩画でもフードを被った死霊が画面上に配されているが、本作の右上には腰布を纏った立ち姿のポリネシア女性像が追加で描かれている。この象徴的な姿態は、作品「Parau Hanohano」で試みた人物表現と一致すると同時に、ポリネシアの女神であり、画家が繰り返し造形した野蛮なる神性「オヴィリ(Oviri)」を想起させるものである。油彩画には存在しないこのモチーフを自作から組み替えて融合させた点において、単なる原画の複製にとどまらず、自らの神話的世界観を自在に再構成して新たな多義性を提示しようとした画家の態度が見て取れる。
市場において流通するゴーギャンの版画作品の多くは、画家の没後に次男Pola Gauguin (ポーラ・ゴーギャン)によってサインがなされたものであり、画家本人の直筆サインが存在する版画作品は極めて限定的であり、石版を用いたリトグラフ作品としては本作品が唯一のものである。余白に刻まれた「Paul Gauguin」の署名と、エディション番号「Ep. 47.」のインク書きは、生前に画家の手で直接世に送り出された証であり、本作の資料的価値とともに市場における希少性を高めている。
西洋の伝統継承、モノクロームへの完璧な翻訳、そして自律的なモチーフの融合を結晶化させた本作は、いまなお鑑賞者の想像力を強く刺激し、今後のマーケットでもその評価は維持向上し続けることであろう。