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LOT 238
梅原 龍三郎〈1888-1986〉
窓邊裸婦図
65.2×53.0cm
キャンバス・油彩・額装
左下にサイン・裏面に署名、タイトル、年記
1935年 (昭和10年夏)
東美鑑定評価機構鑑定委員会鑑定証書付(再発行)
解説を読む
¥
5000000
-
10000000
ABSENTEE BID
LOT 238
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梅原 龍三郎〈1888-1986〉
窓邊裸婦図
65.2×53.0cm
キャンバス・油彩・額装
左下にサイン・裏面に署名、タイトル、年記
1935年 (昭和10年夏)
東美鑑定評価機構鑑定委員会鑑定証書付(再発行)
¥
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梅原龍三郎は、輝くような色彩とよどみのない大胆な筆触をもって人物から風景、花までさまざまなモチーフを描き、日本の文化に根ざした油絵を確立した。とくに裸婦像は画家が若い頃から取り組み、それを通じて日本独特の美しさと自身の画風を探求したのであり、梅原芸術の形成を語るのに欠かすことのできないテーマとなっている。
今回出品作《窓邊裸婦図》は1935年の夏、画家47歳の頃に描かれたもので、ひじ掛け椅子に座る裸婦の堂々とした姿を表す。外から陽光が燦燦と差しこみ、裸婦の肌の輝くさまやしっかりとしたフォルムを明らかにして、背景の濃い緑陰や赤い床の色彩に負けることのない存在感を放つ。裸婦と色彩、それぞれ強い個性をもちながら、眩しい光の表現がそれらを包み込んで画面を一体化させており、これは巨匠ルノワールに絶賛された梅原の天性の色彩感覚のなせる業といえるだろう。
本作の季節や背景の様子は、画家の熱海の別荘で制作された同年作の《竹窓裸婦》とよく似通う。《竹窓裸婦》は迫力ある表現によって梅原芸術の成熟を示す名作として知られるが、本作もまた、《竹窓裸婦》とは異なるアプローチで梅原芸術の到達点を明らかにする貴重な1作である。
梅原が裸婦像を手がけるようになったのは1908年のフランス留学時代からで、なにより印象派の大家ルノワールに直接指導を仰ぐことで、師の豊麗な描写に大きく影響を受けた。5年にわたるフランス滞在中には、師の薫陶を残しつつ独自の感性をしのばせた裸婦像などを制作したが、帰国すると日本の風土と油絵という西洋の表現手段の落差に直面し、両者を融合しようとする困難な課題を模索する日々がつづく。
そのときに梅原が立ち返ったのが、日本の伝統美術であった。浮世絵の構図や、大津絵の野趣を帯びた素朴な筆致に着想を得たと思われる裸婦像を数多く描き、それによって梅原の芸術は次第に深化してゆく。そして、力強い筆触と華麗な色彩が織りなす、生命感のある裸婦像へと発展し、1935年の本作や《竹窓裸婦》の誕生へとつながった。
本作と《竹窓裸婦》は、画家お気に入りの場所で近似する構図で描かれるが、《竹窓裸婦》では逆光によって裸婦の量感を強調するのに対し、本作では順光によって裸婦のフォルムを鮮明に表し、西洋絵画が重視する光と影の効果を両者で比較するようである。ここには、光の表現が希薄な日本美術の影響からの脱却が感じられ、西洋とは異なる日本の陽光、裸婦や自然の美しさを写しだそうとする画家の新たな境地がうかがえる。
さらに両者は裸婦の肌や、椅子にかかる布や床の色相が、補色同士となっている点が興味深い。そして本作は、終生にわたって梅原芸術を絢爛に彩る赤色によって、裸婦の肉体の美しさとみずみずしい生命感を伝えており、画家の魅力がつまった1作である。