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LOT 69
Marc Chagall (マルク・シャガール)〈1887-1985〉
Vava devant les Toits rouges à Saint-Paul(サンポールの赤い屋根の前のヴァヴァ)
66.5×51.2cm
紙・パステル・鉛筆・額装
左下にスタンプサイン
1966年
COMITÉ MARC CHAGALL 鑑定証書付
今回出品作《Vava devant les Toits rouges à Saint-Paul(サンポールの赤い屋根の前のヴァヴァ)》は1966年、シャガール79歳の頃に描かれた作品である。この年、画家は1952年に結婚した妻ヴァヴァ(ヴァランティーナ・ブロドスキー)を連れて、南フランスのサン・ポール=ド=ヴァンスに移り住んだので、本作は画家にとって最後となった転居の記念の際に制作されたものであろう。
画面左側に穏やかにほほ笑むヴァヴァが座り、その隣には画家の仕事道具であるパレットや絵筆と、色鮮やかな花の咲く壺を置く。そして背後の窓からは、陽光明るく自然豊かな景色が見え、これからはじまる生活の喜びを予感させる。
一方、画面右側を大きく占めるのが、渦を巻くような姿勢をする人物と赤い屋根の街並みで、これは現在ポンピドゥーセンターが所蔵している画家の大作《Les toits rouges》(1953年作)を画中画として登場させていると見られる。画家の故郷と長く暮らしたパリを描いたこの絵の存在によって、本作は過去から現在、そして未来へとつながる、画家の人生をものがたる1作といえよう。
本作を描くまでのシャガールの半生は、幸福と不幸が織り交ざる激動そのものであった。帝政ロシアのヴィテブスクに生まれ、長じてフランス・パリで独自の芸術を花開かせた画家は、故郷で恋人ベラ・ローゼンフェルトと結婚する。ところが第一次世界大戦が勃発し、数年後にはロシア革命の影響で故郷を離れざるをえず、家族を連れてパリへ避難した。しかしナチスの台頭でアメリカへの亡命を余儀なくされ、さらにその地で最愛のベラが急死してしまう。
一時は筆を断つほど深い悲しみにくれた画家であったが、第二次大戦後にパリに戻ると、第2の故郷となったパリを題材としたシリーズを描く。なかでも最も重要とされるのが先述の《Les toits rouges》で、中央の人物は画家自身であり、赤い街並みは故郷のヴィテブスク、左上にはノートルダム寺院やセーヌ川などパリのシンボルが表される。右上にはユダヤ教の司祭、右下には新婚の画家とベラが重なり合って描かれており、この作品は画家を育んだ土地と、画家の軸となる信仰と愛がこめられた集大成であった。
その作品が登場する今回出品作は、これから住む土地が第3の故郷となることを告げ、画家の半生をともにしたベラと対比するように左側に描かれたヴァヴァは、彼女が新たなミューズであることを示す。この暗示は、聖書に記された歴史は、未来に起こる出来事の予告であるとするユダヤの思想にも通じるようで、本作には画家の人生が円環のように巡る世界観が展開する。そして画面を彩る明るい色と軽やかな筆致は、過去を継承し、未来に向かって飛躍しようとする、画家の希望がこめられているのである。
¥
12000000
-
20000000
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Marc Chagall (マルク・シャガール)〈1887-1985〉
Vava devant les Toits rouges à Saint-Paul(サンポールの赤い屋根の前のヴァヴァ)
66.5×51.2cm
紙・パステル・鉛筆・額装
左下にスタンプサイン
1966年
COMITÉ MARC CHAGALL 鑑定証書付
今回出品作《Vava devant les Toits rouges à Saint-Paul(サンポールの赤い屋根の前のヴァヴァ)》は1966年、シャガール79歳の頃に描かれた作品である。この年、画家は1952年に結婚した妻ヴァヴァ(ヴァランティーナ・ブロドスキー)を連れて、南フランスのサン・ポール=ド=ヴァンスに移り住んだので、本作は画家にとって最後となった転居の記念の際に制作されたものであろう。
画面左側に穏やかにほほ笑むヴァヴァが座り、その隣には画家の仕事道具であるパレットや絵筆と、色鮮やかな花の咲く壺を置く。そして背後の窓からは、陽光明るく自然豊かな景色が見え、これからはじまる生活の喜びを予感させる。
一方、画面右側を大きく占めるのが、渦を巻くような姿勢をする人物と赤い屋根の街並みで、これは現在ポンピドゥーセンターが所蔵している画家の大作《Les toits rouges》(1953年作)を画中画として登場させていると見られる。画家の故郷と長く暮らしたパリを描いたこの絵の存在によって、本作は過去から現在、そして未来へとつながる、画家の人生をものがたる1作といえよう。
本作を描くまでのシャガールの半生は、幸福と不幸が織り交ざる激動そのものであった。帝政ロシアのヴィテブスクに生まれ、長じてフランス・パリで独自の芸術を花開かせた画家は、故郷で恋人ベラ・ローゼンフェルトと結婚する。ところが第一次世界大戦が勃発し、数年後にはロシア革命の影響で故郷を離れざるをえず、家族を連れてパリへ避難した。しかしナチスの台頭でアメリカへの亡命を余儀なくされ、さらにその地で最愛のベラが急死してしまう。
一時は筆を断つほど深い悲しみにくれた画家であったが、第二次大戦後にパリに戻ると、第2の故郷となったパリを題材としたシリーズを描く。なかでも最も重要とされるのが先述の《Les toits rouges》で、中央の人物は画家自身であり、赤い街並みは故郷のヴィテブスク、左上にはノートルダム寺院やセーヌ川などパリのシンボルが表される。右上にはユダヤ教の司祭、右下には新婚の画家とベラが重なり合って描かれており、この作品は画家を育んだ土地と、画家の軸となる信仰と愛がこめられた集大成であった。
その作品が登場する今回出品作は、これから住む土地が第3の故郷となることを告げ、画家の半生をともにしたベラと対比するように左側に描かれたヴァヴァは、彼女が新たなミューズであることを示す。この暗示は、聖書に記された歴史は、未来に起こる出来事の予告であるとするユダヤの思想にも通じるようで、本作には画家の人生が円環のように巡る世界観が展開する。そして画面を彩る明るい色と軽やかな筆致は、過去を継承し、未来に向かって飛躍しようとする、画家の希望がこめられているのである。
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