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LOT 144
狩野 山雪
禅士鳥獣図六曲一双屏風
(各)126.0×51.5cm
紙本水墨・六曲一双屏風
(各)落款、印有
人物と鳥獣を水墨で描いた全十二図を六曲一双の屏風に貼り交ぜる。いずれも主題である人物鳥獣に山水や雪柳、梅、蘆、枯木などの背景を添える構成がとられる。各紙に「山雪」と款し、「山雪」朱文方形内鼎印を捺す。
狩野山雪(1590-1651 天正18-慶安4)は江戸時代初期の狩野派の絵師で、京狩野の祖・狩野山楽の門人。狩野山楽は桃山時代の画家・狩野永徳の高弟で、徳川幕府が開かれるにともない江戸に移った狩野探幽らに対し、京に残って装飾性豊かな永徳様式を引き継いだ、いわゆる「京狩野」の創始者となった。山雪は山楽の婿養子となりその後継者となる。しかしその作風は単なる伝統的装飾性にとどまらない独特の個性に富んだものであった。また、山雪は学問を好んだことから、作風には理知的で文人画的な要素も擁している。
本作はいずれの図も背景に薄墨を敷き、墨色に微妙な変化をもたせながら、人物の衣や降り積もる雪、白鷺の羽毛などを塗り残すことによって白く浮かび上がらせる山雪得意の描法が用いられる。人物は蘆葉達磨など道釈人物・唐人物で、画題が特定できないものもあるが、雪中騎驢図のように山雪が繰り返し描いたモチーフもある。これは中国南宋時代の画家・梁楷の山水図からの引用が指摘されている図様である。雪中に笠を被り童子をともなう高士は、北宋時代の文人・蘇軾(東坡)が雨に遭い笠と屐を借りて帰ったという故事を雪景に置き換えたものであろう。人物の表情や反り返った手足の指の表現、禽獣の細かい毛の描き込み、柳や竹に降り積んだ雪の柔らかな質感など山雪画の特徴が随所に見られる。白梅小禽図に顕著に現れている山雪独特の垂直と水平を強調する装飾的画面構成は、メトロポリタン美術館所蔵の山雪の傑作「老梅図襖」を想起させる。また、真上を向いて天を拝む布袋和尚にみられるデフォルメされた表現も異色を放つ。このような独創的、意匠的で機知に富んだ構図は江戸初期という時代にあって極めて特異であり、のちの琳派や伊藤若沖や曾我蕭白といった画家たちに大きな影響を与えたと考えられる。
本作は、白を基調とした図と黒を基調とした図が屏風上に対になって配置されていることも注目される。本作の表装に用いられている金箔は江戸初期のものであることから、この配置は制作当初の姿をとどめていると考えられ、これによってもたらされた墨色のコントラストは本作の静謐で典雅な装飾性を一層際立たせている。本作のように一点ずつが独立した画題の貼交屏風はのちに軸装に仕立て直されることも多く、山雪の軸装作品にも元は屏風であったと推測されるものは少なくない。屏風としての本来の視覚効果を今なお保っているという点でも貴重な一作である。
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3000000
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5000000
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狩野 山雪
禅士鳥獣図六曲一双屏風
(各)126.0×51.5cm
紙本水墨・六曲一双屏風
(各)落款、印有
人物と鳥獣を水墨で描いた全十二図を六曲一双の屏風に貼り交ぜる。いずれも主題である人物鳥獣に山水や雪柳、梅、蘆、枯木などの背景を添える構成がとられる。各紙に「山雪」と款し、「山雪」朱文方形内鼎印を捺す。
狩野山雪(1590-1651 天正18-慶安4)は江戸時代初期の狩野派の絵師で、京狩野の祖・狩野山楽の門人。狩野山楽は桃山時代の画家・狩野永徳の高弟で、徳川幕府が開かれるにともない江戸に移った狩野探幽らに対し、京に残って装飾性豊かな永徳様式を引き継いだ、いわゆる「京狩野」の創始者となった。山雪は山楽の婿養子となりその後継者となる。しかしその作風は単なる伝統的装飾性にとどまらない独特の個性に富んだものであった。また、山雪は学問を好んだことから、作風には理知的で文人画的な要素も擁している。
本作はいずれの図も背景に薄墨を敷き、墨色に微妙な変化をもたせながら、人物の衣や降り積もる雪、白鷺の羽毛などを塗り残すことによって白く浮かび上がらせる山雪得意の描法が用いられる。人物は蘆葉達磨など道釈人物・唐人物で、画題が特定できないものもあるが、雪中騎驢図のように山雪が繰り返し描いたモチーフもある。これは中国南宋時代の画家・梁楷の山水図からの引用が指摘されている図様である。雪中に笠を被り童子をともなう高士は、北宋時代の文人・蘇軾(東坡)が雨に遭い笠と屐を借りて帰ったという故事を雪景に置き換えたものであろう。人物の表情や反り返った手足の指の表現、禽獣の細かい毛の描き込み、柳や竹に降り積んだ雪の柔らかな質感など山雪画の特徴が随所に見られる。白梅小禽図に顕著に現れている山雪独特の垂直と水平を強調する装飾的画面構成は、メトロポリタン美術館所蔵の山雪の傑作「老梅図襖」を想起させる。また、真上を向いて天を拝む布袋和尚にみられるデフォルメされた表現も異色を放つ。このような独創的、意匠的で機知に富んだ構図は江戸初期という時代にあって極めて特異であり、のちの琳派や伊藤若沖や曾我蕭白といった画家たちに大きな影響を与えたと考えられる。
本作は、白を基調とした図と黒を基調とした図が屏風上に対になって配置されていることも注目される。本作の表装に用いられている金箔は江戸初期のものであることから、この配置は制作当初の姿をとどめていると考えられ、これによってもたらされた墨色のコントラストは本作の静謐で典雅な装飾性を一層際立たせている。本作のように一点ずつが独立した画題の貼交屏風はのちに軸装に仕立て直されることも多く、山雪の軸装作品にも元は屏風であったと推測されるものは少なくない。屏風としての本来の視覚効果を今なお保っているという点でも貴重な一作である。
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